ベランダの雨漏り原因と補修方法｜防水劣化・笠木・腰壁を解説

雨漏りのご相談の中で、実は多いのがベランダが原因となっている雨漏りです。
「室内の天井にシミが出てきた」「ベランダの下の部屋がカビ臭い」といった症状がある場合、屋根ではなくベランダから雨水が浸入しているケースも少なくありません。

ベランダは常に雨や紫外線にさらされるため、防水層や接合部が劣化しやすい場所です。外壁塗装を検討するタイミングで、ベランダ防水もあわせて点検・補修することが、住まいを長持ちさせるポイントになります。

原因① ベランダ防水層の劣化・ひび割れによる雨漏り

ベランダ床には、防水層と呼ばれつ雨水の侵入を防ぐ層が施工されています。しかし、経年劣化により防水層が硬化したり、細かなひび割れが発生するとそこから雨水が内部へ侵入してしまいます。

防水性が低下すると、ベランダ床にコケや黒ずみなどの汚れが発生しやすくなるのも特徴です。
一見すると見た目の問題に思われがちですが、実際には雨漏りのサインであることも多く、注意が必要です。

トップコート表面の細かなひび割れや塗膜の剥がれ程度であれば、トップコートの塗り替えによって防水層を保護することが可能です。
トップコートは防水層そのものを守る役割があり、定期的な塗り替えが予防に繋がります。

一方で大きな亀裂が入っている場合やトップコートの塗り替えだけでは防水性の回復が難しい場合には、FPR防水やウレタン防水工事を行い新たに防水層を形成します。

また、意外と見落とされやすいのが排水口（ドレン）の詰まりです。
落ち葉やゴミが詰まることで雨水がベランダに溜まり、防水層に常に水が触れる状態となり、劣化を早めてしまいます。雨漏り対策では、防水工事とあわせて排水状況の確認も重要です。

ベランダの手すり上部に取り付けられている部材を笠木（かさぎ）と呼びます。この笠木も、見落とされがちですが雨漏りの原因になりやすい部分です。

笠木の継ぎ目や固定部分に隙間ができると、そこから雨水が浸入します。
また、アルミ製の柵や手すりが設置されている場合、柵の支柱部分の接合部から雨水が侵入するケースもあり、特に木造住宅では意外と多い原因です。

初期段階であれば、シーリングの打ち直しや塗装で対応できることがほとんどです。

しかし、雨水の侵入が長期間続いている場合、内部まで影響が及び、下地材や木部が腐食していることもあります。その場合は、笠木を一度取り外し、下地材の補修や交換を行ったうえで、新しい笠木を取り付ける補修工事が必要になります。

笠木はベランダ腰壁や内部構造にも影響するため、雨漏り調査では表面だけでなく内部状況の確認が欠かせません。

ベランダの立ち上がり部分や腰壁も、雨漏りが発生しやすい箇所です。
外壁と同様に、腰壁の塗膜やシーリングが劣化すると、そこから雨水が浸入し、室内側へ影響を及ぼすことがあります。

特に、床防水だけを補修しても、腰壁のひび割れや防水不良を見落としていると雨漏りが止まらないケースもあります。

補修方法としては、外壁と同じくシーリングの打ち替えや塗装による防水・保護が基本となります。
ひび割れが発生している場合は、塗装前にしっかりと補修を行い、その上で防水性のある塗装を施すことで、雨水の浸入を防ぎます。

床防水だけでなく、腰壁も含めてメンテナンスすることで、ベランダ全体の防水性能を高めることができます。

ベランダの雨漏りは、ベランダの位置や形状によって影響が出る場所が異なるという特徴があります。
そのため、症状が出ている場所だけを見て原因を判断するのは危険です。

建物から突き出す形で設置されているベランダの場合、雨漏りの影響はベランダ直下の軒天に出やすくなります。

具体的には、軒天に雨染みができたり、塗膜が激しく剥がれたりする症状が見られます。劣化が進行すると、軒天材が浮いたり、最悪の場合は板が破損して落下する危険性もあります。

ベランダが建物の中に収まっている形状の場合、雨水は外部に逃げにくく、室内側へ影響が出やすいという特徴があります。

天井や壁にシミが出たり、クロスの浮き・剥がれ、カビの発生など、生活に直接支障をきたすケースも少なくありません。

このタイプのベランダは、雨漏りに気付いた時点で内部まで影響していることも多いため、特に注意が必要です。

ベランダの雨漏りは、ベランダ単体の問題ではなく、外壁・室内などお家全体に関わるトラブルへと発展する可能性があります。

小さな雨染みや汚れでも、内部では劣化が進行していることもあるため、「まだ大丈夫」と自己判断せず、早めに専門業者へ相談することをおすすめします。

外壁塗装や防水工事のタイミングで点検を行うことで、将来的な大規模修繕を防ぐことにもつながります。

気になる症状がある場合は、放置せず一度点検・相談をして、住まいを守るための適切な対策を取りましょう。

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